「BARRIQUE TOKYOのものづくりについて、お話ししましょう」
時代の流れと共に和服を着る機会が減り、多くの素晴らしい着物や帯が眠っています。BARRIQUE TOKYO(バリーク東京)は、日本の伝統工芸の美しさを世界に発信したいという思いから、着物をファブリックとしてインテリア&ファッション・アイテムに再生させ、新たな輝きを与えます。
野口ちえこ(ショップキューレーター&アーティスト)のインタビュー後半は、作品制作にまつわるお話しです。
Q:着物や帯には日本各地の風土を生かした、さまざまな伝統技術が用いられています。ちえこさんは「絞り染め」がお好きだとお聞きしましたが、絞りの着物の魅力はどんなところでしょう?
「『染め』『織り』という言葉を聞いたことがありますか?
着物は、その制作工程から『染めの着物』と『織りの着物』の2種類に大別することができます。染めの着物は、京や加賀の友禅、江戸小紋や沖縄の紅型など。織りの着物には、大島紬や結城紬などがあります。
どれも長い歴史のなか受け継がれてきた、伝統的な技法です。
絞り染めは『染め』の技法の一つ。布地をつまみ、糸で縛って染料に浸すと、染料の染み込まなかった部分がさまざまな模様となって浮かび上がってきます。私が好きな『かのこ絞り』は、絞り染めの中でも最も手間が掛かると言われている伝統工芸です。熟練の職人による細やかな手作業が生む優美さと、なんとも柔らかな表情に魅了されます」
華やかな色彩と優しい風合いを生かした、絞り染めのクッションやコースター、ポーチ。
Q:着物や帯に新たな生命を吹き込む作業のなかで、ちえこさんならではのこだわりを教えてください。
「着物のどこを使って、どんな作品に仕上げるか。ファブリックの表情の違いを1つ1つ見つめながら、手作業で仕上げるBARRIQUE TOKYOの商品は唯一無二の1点もの。
長く愛用してもらえるようデザインを工夫し、レザーやデニムなど耐久性のある素材との組み合わせを考えます。そしてなにより、ベースとなる着物の状態にこだわっています。インターネット売買では臭いまでは分からないから、リ・メイクに使うのは実際に目で見て、触れて、自分の目で確認したものだけ。経年劣化による色褪せやほつれ、細かなシミがないかを確かめます」
Q:BARRIQUE TOKYOの商品は、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界各国にファンがいます。日本国内だけでなく、海外で人気を博している理由はどんなところでしょう?
「海外通のスタッフと相談をしながら、アイテムを考えています。テーブルランナーやテーブルクロスは欧米サイズを意識して、ひとまわり大きいサイズに。ランチョンマットやコースターも日本では4セットか5セットが基本ですが、洋食器の組数に合わせ6枚セットにして、海外顧客を意識したものづくりをしています。
着物は世界でも広く愛されている、伝統工芸品です。新たなアイテムに作り直すことで、ヨーロッパやアメリア、アジアの方々に、身近な場面で着物に触れてほしい。時代を超えて着物の魅力が引き継がれ、日本の文化や伝統に興味を持ってもらえるきっかけになればと願っています」
男性女性を問わず、タイムレス、エイジレスに愛されるBARRIQUE TOKYOのデザインはヨーロッパでも人気。
【テーブルランナー 】