「着物を再生し、伝統と文化を継ぐ。野口ちえこの想い」

日本の伝統美を誇る「着物」は、海外で高い関心を集めています。 

今回はBARRIQUE TOKYOショップキューレーター&アーティスト・野口ちえこに「着物」の魅力、作品づくりに込めた想いについてインタビューしました。 

 

Q: ちえこさんと着物のご縁を教えてください。 

「母方の親戚が桐生、足利で着物の仲卸問屋や機屋(はたや)を営んでいた関係で、いつも身近に着物がある環境でした。幼い頃から大晦日には日本髪を結ってもらい、お正月は着物を着て、祖父母や親戚のご挨拶まわりや初詣でに出かけていました」 

 

Q:リ・メイク作成のきっかけはなんですか? 

「母が亡くなり遺品を整理していると、素敵な着物や羽織、帯がたくさんあったんです。大切に受け継がれてきた品々をどうにかしたいと思いましたが、サイズも合わないし、今の自分がそのまま着るには無理がありました。そこで最初に作ったのが写真のトートバッグです。海外通の友人から『外国人に向けて発信すれば喜ばれるよ!』というアドバイスを受け、本格的な制作がスタートしました」 

 

「古い着物に新しい価値を与えたい」という野口ちえこの思いから生まれたリ・メイクバッグ。3つの着物地とレザーを組み合わせ、着物に新たなストーリーを紡ぐ。 

 

Q:その後、クッションカバー、ランチョンマットなど次々と作品を発表しています。リ・メイク作成で心掛けているのはどんなことでしょう。 

 「現代に通じるモダンさです。着物の持つ“和”の魅力を最大限に活かしつつ、欧米のライフスタイルにあうリ・メイクを目指しています。例えば、着物や帯にレザーやデニムを合わせるなど、異素材と組み合わせることでスタイリッシュさが生まれます。時を経た着物地は摩擦に弱いので、裏地や持ち手を丈夫な素材で補強できるメリットもあるんです。生活の中で愛用するものは、耐久性も大切なポイントだと考えています」 

 

裏地にデニムを配したクッションカバーと、持ち手にレザーを使用したポシェット。異素材を組み合わせることでモダンさと耐久性が加わり、長く愛用できる逸品が生まれる。 

 

Q:BARRIQUE TOKYOの魅力は、ちえこさんがスタイリストとして培った素材選びの目利き力だと思います。着物や帯はどうやって仕入れていますか? 

 「ベースとなる着物や帯は、骨董市を巡って探します。アンティークの着物の最大の魅力は、1点ものの美しさ。薄紅色や浅葱色、藤納戸など、現代の着物や洋服にはない繊細な色調に心惹かれます。また、意匠の面白さもありますね。古くから伝わる染めや織りの技法から生み出された、その一枚一枚に職人の技が息づいています」 

 

Q:これからの季節に向けて、新作の予定をお聞かせください。 

 「夏場の季節、着物地と麻布を組み合わせたクッションカバーはいかがでしょう。ざっくりと荒い麻の生地を使って、涼しげな仕立てにするのもいいですね。インドネシアやインドのバティック(ろうけつ染め布地)も大好きです。写真は、和の文様とアジアの伝統柄を組み合わせたポシェットです。柄×柄の組み合わせでも、不思議としっくりと合う。同じアジアの空気感でしょうか。 

新たな発想で着物をリ・メイクし、現代のライフスタイルに合ったアイテムに再生させることで、新しい命を吹き込み、日常生活の中で活用する喜びと楽しさを感じてもらえればと願っています」 

色彩豊かに染色されたインド、インドネシアのバティックを裏地に使用したポシェット。チラリとのぞく異国情報ある柄がキュート。